【鉄道】100円稼ぐのに1万円超の費用 鉄道の赤字ローカル線、都市部の黒字で穴埋めは限界
JR西日本の芸備線の状況は特に深刻で、100円の収入を得るために1万円以上のコストがかかる区間もある。
ただ赤字区間でもローカル線は学生の通学など一定の需要があり、廃止になると地方の過疎化を加速させる懸念から沿線自治体の反対も少なくない。
芸備線は全国で先駆けて国の「再構築協議会」での議論が始まっており、今後のローカル線のあり方の一つの指標になりそうだ。
■通勤通学の利用が減る芸備線
芸備線は広島駅から備中神代駅(岡山県新見市)の約159キロを結ぶ単線の路線。
JR西で営業費用に対する運輸収入の割合を示す「収支率」が最も悪いのが芸備線の東城―備後落合間で、100円稼ぐのに2021~23年度平均では1万1766円の費用がかかった計算となる。
昨年に芸備線の備中神代-備後庄原間に乗車したところ、空席が目立つ車内に10人ほどの乗客がいた。
平日の昼過ぎということもあり多くが観光客のようで、席を立って自然豊かな景色を眺める姿が見られた。
JR西が公表した調査結果では、18年と24年の利用者数を比較すると午後2時台の備後落合-備後庄原間で平均乗客数は平日が4人増、休日が19人増となっており、鉄道ファンを中心に観光客が増えていることがうかがえる。
一方で午前7時台の通勤通学時間帯の東城-新見間では平日で平均15人減と、地域住民の利用が減少している実態が浮き彫りとなった。
■JRと自治体の主張かみ合わず
芸備線のあり方を巡り、JR西は広島県や岡山県など沿線自治体と議論を進めるため、国に「再構築協議会」の設置を要請。
24年3月から議論が始まっており、3年をめどに結論を出す。
協議会では広島、岡山両県が、新型コロナウイルス禍の収束後にJR西の業績が回復していることなどを理由に、「内部補助で維持できる」と主張している。
内部補助は都市部の在来線や新幹線といった高収益路線の黒字で赤字路線を維持する方法。
1987年の国鉄民営化以降も、公共性から内部補助でローカル線の維持が行われてきた経緯がある。
ただ、利用者が減少しているJR西の17路線30区間の赤字総額は233億円(21~23年度平均)と莫大(ばくだい)な額に上り、他路線の黒字で穴埋めできる限界を超えつつある。
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